絵本紹介#3『おかげさま「いのちのまつり」』

1月7日に食べる七草粥の優しさは身体に沁みますね。江戸時代に制定された①人日(じんじつ)の節句(1月7日)②上巳(じょうし)の節句(3月3日)③端午(たんご)の節句(5月5日)④七夕の節句(7月7日)⑤重陽(ちょうよう)の節句(9月9日)を五節句といいます。中国では奇数が縁起の良い数とされていた反面、悪いことにも転じやすいと考えられ、邪気を払う儀式をしていました。この風習が日本に伝わると、日本古来の儀礼や祭礼などと結びつき、日本独特の行事と変化していきました。この1月7日の人日の節句に七草粥を食べるのも無病息災を願ってのことです。またお正月の忙しさや暴飲暴食の胃腸の疲れをいたわるために青菜を摂取するという生活の知恵もあるようです。にしても、1年に1回は少なすぎませんか?(笑)

おかげさま「いのちのまつり」作:草場一壽 絵:平安座資尚

「おかげさまです!」、「おかげさまで〇〇できました」など、みなさんも日頃から会話の中で使っている言葉ではないでしょうか。

「おかげさま」という言葉をよく耳にするけど、なんのことなのか。それをおじいちゃんと孫の女の子の会話から教えてくれる絵本です。絵本の内容はとても簡潔に小難しいことは一切ありません!最後には著者のこの絵本を読んでもらった方々に向けてのメッセージがあり、これがベースとなり物語が進んでいきます。

時空をこえてつながっている 「いのち」は目には見えません。それを支えてくれている「おかげさま」も目には見えません。見えないものを感じる力を育まなければ、なぜ「いのち」が大切なのかも感じられないと思うのです。

自己実現や自分探しなどという言葉を聞くようになり、自分にばかり注視するような風潮、あるいは自己責任という言葉で他者を切り捨てるようなご時世がきていないでしょうか。しかし、この絵本で伝えたいことは他者との関わりの中で自分というものが存在しているということ。言い換えれば、自分の想像を超えた関係の中で奇跡的に「今」「ここ」にいるということを優しく伝えてくれています。

私は今日もおかげさまでという感謝を思い、布団に入りたいと思います。

おやすみなさい。

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