葬儀・法事以外のお寺の役割

今回はタイトルの通り、葬儀・法事以外のお寺の役割についてお話ししたいと思います。また私自身の私的なテーマでもありますので、今後少しずつお話ししていきたいと思います。

まず前提として、葬儀・法事を儀礼に則り、施主の方々に寄り添った形で行っていることとします。

その上で、上記以外の現在、並びに将来のお寺の役割について、現時点で思うことを簡単にお話しします。

 

当寺院は宮城県気仙沼市に位置しておりまして、気仙沼市の人口のピークは1981年(昭和56年)の93,192人です。東日本大震災直前の2011年2月末は74,247人。東日本大震災の1年後の2012年2月末は69,986人。そして、2021年2月末は61,282人です。

さらに高齢化率は2000年は21.4%、2020年には38.4%のと大きく上昇しております。(2018年の日本全体の高齢化率は28.1%)

気仙沼市にとって、人口減少は山積する様々な課題の中でもとりわけ、課題意識が強いものであると感じています。人口減少に伴う影響は主に以下のようなものがあります。

1)生活関連サービスの縮小

2)税収減少による行政サービスの低下

3)地域公共交通の撤退・縮小

4)空き家、空き店舗、耕作放棄地の増加

5)地域コミュニティの機能低下

これらの影響の中で、お寺が支援できるものとして「5) 地域コミュニティの機能低下」だと考えています。2011年の東日本大震災では、多くの家が流され、これまでの近所付き合いといったコミュニティが崩壊し、仮設住宅でのコミュニティも一定の期間を区切りに散り散りとなりました。

そこでお寺の土地活用や歴史的な建物、また雰囲気を存分に活用していただき、坐禅会や音楽観賞会、お祭りなど様々なイベントを通して、そのコンテンツの先にある「人と人とのつながり」を醸成できるように仕掛けていければと思います。

地域活動を活発に行うことで、地域の方々の交流の機会が増え、地域のにぎわいや地域への愛着が少しでも育っていって欲しいなと感じております。

私自身、気仙沼が大好きですので、それが地域にとっての葬儀・法事以外のお寺の役割ではないかと思っています。

 

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