先日に半袖と半ズボン、サンダルに来年にまた会おうとお別れをして、冬支度に取りかかりました。朝晩の冷えが厳しくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

詩をよむ

以前に霊園に伺ったときに、墓石が等間隔に立てられていました。その墓石は故人や先祖のお墓ではなく、「死」や「悲しみ」、「愛する人」に関する詩が刻まれていました。お参りする人の胸に響く詩が並んでいました。

その中で、詩人の坂村真民さんの詩があったのでご紹介いたします。

二度とない人生だから 一輪の花にも 無限の愛を そそいでゆこう
一羽の鳥の声にも 無心の耳を かたむけてゆこう
 
二度とない人生だから 一匹のこおろぎでも ふみころさないように
こころしてゆこう どんなにか よろこぶことだろう
 
二度とない人生だから 一ペんでも多く 便りをしよう
返事は必ず 書くことにしよう
 
二度とない人生だから まず一番身近な者たちに できるだけのことをしよう 
貧しいけれど こころ豊かに接してゆこう
 
二度とない人生だから つゆくさのつゆにも めぐりあいのふしぎを思い
足をとどめて みつめてゆこう
 
二度とない人生だから のぼる日 しずむ日 まるい月 かけてゆく月
四季それぞれの 星々の光にふれて わがこころを あらいきよめてゆこう
 
二度とない人生だから 戦争のない世の実現に努力し
そういう詩を 一篇でも多く 作ってゆこう
わたしが死んだら あとをついでくれる 若い人たちのために
この大願を 書きつづけてゆこう

坂村真民『二度とない人生』

過剰な情報が飛び交い、忙しなく生きる現代において、日頃触れることのない詩にゆっくりと触れてみるのも心地よいと感じました。

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