欲しい!欲しい!

ふとした瞬間、ホームページの更新を失念していることに気づくことがありますが、今回もご覧いただきありがとうございます。

あれも欲しいし、これもいいな。

みなさんは欲しいものがあった時はどうしていますか。

 私は、大学入学を機に都内で一人暮らしを始める際、自分の部屋には音楽を聴くスピーカーが無いといけない、次には間接照明が欲しいなど、所有欲が際限なく溢れ出ていました。「もっと、もっと欲しい」という気持ちが常にあり、満足感のある生活とはほど遠いものでした。

 しかし、この生活に転機が訪れます。それは大学生活を終え、永平寺での修行です。修行をするにあたり、持ち物は必要最低限なもの。さらに持ち物は全て決まっています。大学での一人暮らしの荷物と比べても、比較にならないほどの少なさです。これで生活ができるのかと心配になりました。そして、いざその不安な気持ちと少ない荷物を背負い永平寺へ。修行生活では、静寂に包まれ、時折聞こえる鳥の小さなさえずりさえもはっきりと聞こえる環境で行じる坐禅。ひとつ一つの食材、料理と一心に向き合いゆっくりと丁寧にいただく食事。これら修行の日々を経ていくうちに、少しずつ充足感を感じていました。そこでふと気づいたことは、大学生活の私は多くの物に囲まれながらも、所有欲に振り回され、心落ち着かず、決して心豊かな生活ではなかったということです。今まで「ない、ない」と思っていた生活がこんなにも豊かであったことに気づきました。

禅の言葉に「知足(ちそく)」という言葉があります。足るを知ること。それは求めることをやめ、今あるものに十分満足できることに気づくことです。全てが満たされていなくても心豊かに過ごせることに気づくことが仏教の教えのひとつなのです。言い換えれば、シンプルに暮らすこと。それを心がけて今後もより一層精進していきたいと思います。

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