『普勧坐禅儀』
今年のゴールデンウィークが10連休の方がいるとかいないとか。
コロナと共生しつつ、日常を取り戻しかけている段階だと感じます。残りはマスクでしょうか。
坐禅の書物の紹介
昨年度のように坐禅会を定期的に行えていた一方で、今年度はまだ0回…寂しい気持ちで過ごしております。
今回は永平寺を開かれた道元禅師によって書かれた坐禅の規則、『普勧坐禅儀』(ふかんざぜんぎ)について紹介します。
まず題目の由来として、「普く坐禅を勧める儀」、誰でも坐禅を行えるように坐禅の意義、作法を示したものです。
実は『普勧坐禅儀』3つある!?
道元禅師が書かれた『普勧坐禅儀』ですが、実は現代に伝えらているものが3つあります。
1つ目が「天福本」です。
1233年に書かれたとされており、現在永平寺に国宝として収められています。
2つ目が「流布本」です。
1235年〜1244年に書かれたとされており、一般的に広く世間に浸透し、現在も読まれているものです。
3つ目が「嘉禄本」です。
嘉禄年1225〜1227年に書かれたものとされていますが…現存していません。
天福本には坐禅の効用が書いてあった!?
澤木興道老師曰く、「坐禅してもなんにもならん」といったように、「悟りを開くために!」や「無の境地へ到達するために!」といった何かを得るための手段として坐禅があるわけではないと述べている。
その一方で、あまり浸透していなかった天福本では四大軽安、精神爽利、正念分明、法味實神、寂然清楽 、日用天真也が坐禅の効用として記されていました。例えば、四大軽安とは身体が軽やかで安らかになる。正念分明とは、無駄な思いを除き、物事をしっかりわかるなどである。
しかし、流布本にはこれら効用はなくなっています。これらを目的とした坐禅、手段として坐ることに対して、よく思わなかったのではないでしょうか。
副産物的な効用はあってもいいとは思いますが、坐禅は無目的にただ坐る。今の私の中での坐禅のキーワードは”無目的”です。
坐禅する機会があれば、この雑多な記事を思い出して坐禅していただければと思います。