絵本紹介#9『がんなったライオン』

『がんになったライオン』絵と文 ゆうき まあさ

まず、帯の文章を抜粋します。

いのちの足音をはじめて聞いた がんに時間を奪われて

がん治療をとおした緩和ケアをわかりやすく伝えながら、いのちとは、その人らしく生きるとはを問いかける絵本。

『がんになったライオン』

立派なたてがみ、家族・子ども・森の民から慕われ、頭には王冠、手には銀の剣、知恵もあり、戦いには負けた事がない完璧な王様のライオン。

しかし、がんが見つかり、ありとあらゆる治療を試みるも再発して、心がズンと重くなってしまうライオン。

辛く過ごすライオンに多くの動物たちがあたたかく寄り添い、「大丈夫だよ」、「そばにいるからね」と言っているような関わりをそれぞれの形でもってくれています。

絵本『がんになったライオン』は、「生きる力」と「支え合うことの温かさ」をやさしく描いた物語です。

ライオンが病と向き合う姿を通して、読者に“緩和ケア”の本質を教えてくれます。

それは「苦しみを取り除く医療」というだけでなく、「痛みや不安の中でも、自分らしく生きる時間を大切にすること」。

誰かが病とともに生きるとき、そばにいる人のまなざしや言葉、沈黙のあたたかさが、何よりの力になるのだと、この絵本は静かに語りかけてくれます。

 

 

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