絵本紹介#6『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』

暑い気温が連日続き、何もやる気が出ない日もある中で、セミが休む暇なく鳴き続けているのを聞いて、尊敬してしまうほどです。

『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』くさばよしみ 編  中川学 絵

今回は第40代ウルグアイ大統領ホセ・ムヒカさんのスピーチが絵本になったものを紹介いたします。

まず、ウルグアイは南米にあり、ブラジルとアルゼンチンに隣接するところに位置しています。

面積は17.6万平方キロメートル(日本の約半分)、人口は342万人(2022、世界銀行)です。首都はモンテビデオ。

国土の7割を牧場と牧草地が占め、牛肉や羊毛などの農牧業が中心になります。

ムヒカさんはそのウルグアイで2010年から5年間大統領を務め、その後に政界を引退し、現在は89歳です。

2012年、ブラジルのリオデジャネイロで環境が悪化した地球の未来について話し合うために国際会議が開かれました。

世界中から集まった各国の代表者が、順番にあーでもないこーでもないといった意見を述べていきました。そして、ウルグアイのムヒカ大統領の番です。

現代の消費社会や労働環境、発展に伴う犠牲についてなどを話した後に

わたしが話していることは、とてもシンプルなことです。

社会が発展することが、幸福をそこなうものであってはなりません。発展とは、人間の幸せの味方でなくてはならないのです。

人と人とが幸せな関係を結ぶこと、

子どもを育てること、

友人を持つこと、

地球上に愛があることー

こうしたものは、人間が生きるためにぎりぎり必要な土台です。発展は、これらをつくることの味方でなくてはならない。

『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』

社会の発展を否定せず、発展に伴う犠牲によって幸せを失っている、あるいは幸せを幸せと感じられなくなっているのではないかとお話ししています。

絵本の帯には、「貧乏」についてこのように書いてあります。

「貧乏とは少ししか持っていないことではなく、無限に欲があり、いくらあっても満足しないことです」

現代の発展を遂げた社会において「より便利で、より豊かで、私たちは幸せになったのでしょうか」という幸せとは何かを深く問いかけてくれるスピーチ・絵本です。

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